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2話
「………」
コーヒーを飲みながら、むつはきょろきょろしたり、鳴ってもいない携帯を見たりと、やはり落ち着きがない。
「…ねぇ、しゃちょおぉ」
「うぅるせぇ‼うるせぇなお前‼祐斗、むつの相手してやれよ‼こいつ、うるせぇ」
「えー…」
「あぁぁぁぁ‼」
むつはわざとらしく声をあげて、両足のかかとで、だんだんだんっとリズミカルに床を鳴らしている。
「むつさん、うるさいですよ。もう静かにしててください。何かする事ないんですか?」
「無い‼仕事ないっ‼なーいーっ‼」
「何なんだよ、あいつは…」
「湯野さんが心配で仕方ないみたいです」
「分からなくはないけどな…むつ、お前が普段連絡寄越さない時は、こうやって心配されてるって事を身に染みて覚えろ」
「…それを言われると…はい…ごめんなさい」
急にしゅんっとして大人しくなったむつは、冷めたコーヒーを飲みながら溜め息を漏らしていた。




