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8話
むつと西原の関係が大きく変わろうとしているのは、冬四郎も何となく察してはいたが、今の様子からすると大した進展はないのかもしれない。それを思うと、ほっとしている自分がいて冬四郎は、何とも言えない気分になっていた。血の繋がりはなくとも、確かにむつは妹だ。だが、それ以上に思っているような気もする自分に、少しだけ情けない気持ちになっていた。
「…あの、宮前さ「あったーっ‼」」
西原が意を決したように冬四郎を呼んだが、その声はむつの嬉しそうな声にかき消された。西原が呆れたように笑うと、冬四郎がすまなそうな顔をした。
「またゆっくり聞くから、悪いな…」
「いえ…その時はお願いします。でも…むつ元気ですね」
「子供だから…」
管狐を抱き上げて足を組んだ冬四郎は、その上に管狐を置いて肘も置くと頬杖をついて、倉庫の方からやってくる2人を見ていた。