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8話
「それもそうですね…そうなると、誰にでも家を教えてるむつは不用心過ぎませんか?」
「ううむ…確かに…でも、信用おける人だけじゃないのか?家族とよろず屋の3人、菜々ちゃん、篠田夫婦に西原君と京井さん、か?」
「知ってる限り皆じゃないですか。ってか、篠田さん夫婦になったんですか?」
「…言われてみればそうか。いや、面倒くさいから篠田夫婦って呼んでるだけだよ」
誰との会話の間でそんな風に呼んでいるのか謎だ、と西原は思ったが、冬四郎がそう呼んでいるならそれでいい。それに、篠田とこさめは夫婦みたいな物だしと西原も、どことなく納得していた。
「…ちなみに、宮前さんはむつの部屋の合鍵持ってるんですか?」
「あぁ、貰ってある。俺の家の鍵も持たせてるし…それがどうした?」
「いえ…」
西原の様子からして、西原もむつの部屋の合鍵が欲しいんだろうなと冬四郎は思ったが、渡す渡さないはむつが決める事であり、冬四郎が何か言ってやれる事はなかった。