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8話
「…まぁいっか。行ってみるよ」
「えぇっ!?む、むつさん…」
計画性なさすぎと祐斗が止めると、むつは分かってるよ、と笑っていた。本気で行く気ではなかったようだが、むつが言うと本気のように聞こえてならない。冬四郎からは、協力したらいいなんて簡単に言われたが、協力というよりむつのお守り役ではないだろうか。祐斗はそんな風に思ったりもしていた。
「あ、そう言えば…竹筒って…凪君…それも置いて行っちゃってるのかしら?」
管狐を撫でていたむつは、凪が竹筒を持っていた事を思い出して、首を傾げた。
「さぁ?」
それがあっても無くても、祐斗には何の関係もないからか、興味なさそうにしていた。だが、むつはどんな事でも気になると、それが頭から離れなくなる。その分、考えていた他の事を忘れてしまうのだった。余計な事など考えなくても、と祐斗がぼそっと言ったが、むつには聞こえていない。
「祐斗君は、むつのストッパーで外部記憶装置ってやつだな」
大変だ、と西原が呟くと祐斗はこっそりと溜め息を漏らしていた。