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8話
「だから、そっちの方なんだろうなってのは分かるんだけど…雪深い地方っていってもさ、多いでしょ?その辺って目当てはつけても…って感じでさ」
その辺だろうとは分かっても、それがどこなのかはむつにも分からない。だから、考え込んだまま言い出せなかったようだ。
「湯野さんと弟さんの言葉に訛りは?」
「無いのよね。標準語ってやつ?」
言葉のはしはしに地方独特の訛りが出れば、ある程度の地域は絞り込めそうだが、颯介も凪にも方言も訛りもなかった。
「かなり難しいな」
そのくらいの手がかりしかないとなると、冬四郎と西原でも、どの辺という事を言ってやれそうになかった。