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2話
「颯介さん遅いなぁ…やっぱり体調悪いのかしら?ねぇ、社長?連絡してみる?」
コーヒーの入ったマグカップを片手に、落ち着きなく立っているむつが声をかけた先。他の机とは独立してある机で、新聞を読んでいる無精髭に目の鋭い男。ここよろず屋の社長である山上は、雰囲気に似合わないような、優しげな笑みを見せた。
「昼過ぎまで待ってみろ。昨日は早退したんだろ?体調悪くて起きれないでいるのかもしれないからな」
「うん…でも、それならそれで心配。ご飯食べてるかな?熱とか…あ‼インフルエンザ流行ってるし、それかなぁ?」
やっぱり連絡しようかな、とむつはちらちらと机に置いている携帯を見ている。携帯は颯介からの連絡があったらすぐに、気付けるようにとマナーモードを切って音量を最大にしている。
「むつ、いいから座れ。湯野ちゃんだって、いい大人なんだぞ?本当にどうにもならないなら、管狐を走らせるだろ」
「………」
颯介が管狐を使いにやるはずないと、むつは思いながら言われた通りに座った。




