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8話
ある程度言ったからか、怒りは落ち着いたのか、むつはソファーにどかっと座っていた。テーブルに携帯を置いて、連絡はまだかと睨むようにして見ていた。
そんなむつを遠巻きに祐斗は、ちらちらと様子を見ていた。片に話し掛けて、怒りの矛先が向けられても困るとでも思っていたのだろう。だが、それは賢明な判断だと、祐斗は思っていた。
しんとした室内の空気は重苦しい。祐斗は、そわそわしながら早く連絡が来ないかと待っていた。むつは足を組み、腕を組んで偉そうにして座ったまま動かない。時おり、足を組み替えはしてもそれ以外の動作はなかった。
あっという間に1時間過ぎ、2時間経った頃、廊下を歩いてくる足音が聞こえた。もしかしたら、山上が来たのではないかと祐斗は期待をしていた。