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8話
『そうか。悪いな…俺も山上さんの家は知らないんだ。現役の頃から、家には行った事もなかったし…あ、でもちょっと待っててくれるか?山上さんの同期の人なら…当たってみるよ』
「あ、是非!!お願いします」
『あぁ…でも、あてにはしないでくれよ。また連絡するから、またな』
ぷつんっと電話が切れると、祐斗はむつの方を見た。むつはまだ何冊もあるファイルを片っ端から見ていた。
「…知らないって?」
「はい。でも、社長の同期の方に聞いてみるって言ってくれましたから…西原さんにもかけてみますか?」
「収穫なさそうだけど一応。お兄ちゃんみたく他の人に聞いてくれるかもしれないから。網は広げといた方がいい」
「…犯人追ってるんじゃないんすから」
意味合いが違う気がするとは思ったが、今は追い掛けている事に違いはなかった。