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8話
「ふーん…?」
「…どういう事でしょうね」
コーヒー片手に机に寄り掛かり、壁にかけてあるホワイトボードを眺める2人は、やはり同じ方向に首を傾げている。背は祐斗の方が少し高いが、ほっそりとしている分、体格は似ている。後ろから見ると双子のようでもあった。
「…やっぱり遅刻?」
「社長がですか?今までにそんな事って1回でもありましたっけ?」
「ない。二日酔いでもギリギリには来る」
「ですよね…電話してみますか?」
「うん。してみてくれる?」
むつが言うよりも先に、祐斗は机にある固定電話の受話器を持ち上げていた。言わずとも、しようとしてくれていた祐斗に、むつはほんの少し頼もしさを感じ始めていた。