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2話
コーヒーを入れて、トーストした食パンとスーパーで買ったきていたサラダを冷蔵庫から出してみたものの、颯介は食欲がないのか、コーヒーをすするのみだった。
こうばしい香りに誘われてか、管狐が襟元から顔を見せると、颯介は半分にしたパンを管狐の顔に近付けた。鼻をひくひくさせた管狐が、かりっとパンを噛むのを確認すると、それをテーブルに置いた。服や床にパン屑を落とされないようだ。
さくさくといい音をさせて、パンをかじる管狐を残し、颯介はのろのろと立ち上がると、ぼすっとベッドに倒れこんだ。
動きたくもないし、外にも出たくない。だが、今日も仕事はある。特にする事があるわけではないかもしれないが、行かなくてはならない。そう思う程に、身体が重たくなっていく気がする。
休んでしまおうか。そんな事も思ったが、一緒に働いている年下の2人が、まひどく心配するのだろうな、と思うと休めない。行きたくない、でも、とぐるぐると考え事をしていた颯介だったが、いつの間にか眠りに落ちていた。




