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8話
コーヒーを片手に、むつと祐斗はキッチンで立ったまま、他愛のない話をしていた。こんな風に祐斗と話をするのも、なかなか無い。祐斗もそれを感じているのか、少し大人の仲間入りをしたような気分で居た。
「それにしても…本当に社長遅いわね。今日に限って寝坊かしら?」
「そんなに昨日は遅かったんでしょうか」
「…そうは思えないけど。颯介さんからの電話、帰宅してお風呂出た頃だったし」
「そうっすよね」
「あれー?今日社長休みだっけ?」
「どうでしょう…こんな時に公休だからって取りますか?そんな事するイメージなかったんすけど」
同じ様に首を傾げた2人は、とりあえずシフト確認しようかとキッチンを出た。のんびりと喋りすぎていたのか、壁掛けの時計を見ると、すでに始業時間を30分も過ぎていた。