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8話
コーヒーいれると言ったむつは、ポットに残っている水を捨てて、軽くすすぐと水を入れ直してから、スイッチを入れた。そして、換気扇のスイッチも入れた。
ぶぅんっと低い音がし始めると、タバコをくわえたむつは、ちらっと祐斗を見た。何やら言いたい事があって、わざわざついてきたようではあるが、言い出しにくくしている。ライターで火をつけて、煙を換気扇に向かって吐き出しながら、祐斗が考えていそうな事をむつは考えてみた。昨日の今日であれば、思い付くのは1つしかなかった。
「…颯介さんから電話あった?」
「えっ!?あ、はい…ありました。むつさんが、言ってくれたそうですね…まだ起きてるだろうから、少し電話してあげてって」
「うん。電話するかメッセージにするかで悩んでたから、電話してあげてって言ったの。少しでも声聞けた方がいいでしょ?」
「はい…ありがとうございます」