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8話
「颯介さんでも照れるんだ?ふーん?あたしは颯介さん大好きよ」
『………』
「何で黙るよの‼」
『いや…それこそ恥ずかしいかな』
「ここ最近は、颯介さんの色んな面が見えて何か嬉しいな。前より、仲良くなれた気がするもん。ま、それはいいとして…もう家?」
『あ、あぁ…帰ってきてる。充電切れてたから折り返しが遅くなっちゃったんだ』
「そうだったんだ。颯介さんもあたしも携帯持ってるだけよね」
くすくすとむつが笑うと、颯介もつられたように少しだけ笑っていた。少しだとしても笑ったり出来るだけの、ゆとりはありそうだと分かったむつは、優しげな表情を浮かべていた。本当に、こころから颯介の事を気にかけているというのが分かるのは、この場に居る管狐だけかもしれない。