2話
翌朝、目覚ましが鳴る前に目を覚ました颯介は、ゆっくりと身体を起こした。まだベッドに潜っていてもいいのだが、そうしていると外に出るのが嫌になりそうだった。枕元では管狐が、丸まって寝ている。もしかしたら起きてはいるのかもしれないが、まだ動きたくはないのかもしれない。
ベッドから抜け出し、カーテンを開けると外はまだ暗かった。だが、連日降り続いている雪が、道にも電線にもずっしりと積もっている。
「………」
颯介は眉間にシワを寄せながら、その雪を睨んでいたが、見たくもないとでも思ったのか、勢いよくカーテンを閉めた。すると、枕元で丸まっていたはずの管狐が、いつの間にか足元にやってきていた。何を考えているのか、颯介を見上げている真ん丸で小さな目は、いつもと変わらない。
「こんなに雪が積もるなんてな…雪なんて見飽きたっていうのに、また見るはめになったよ」
はぁと颯介が溜め息を吐くと、するするっと足をつたって上ってきた管狐は、そのままスウェットの襟元から中に入っていった。
「…寒いのか?昔は雪の上を歩いてたっていうのに…仕方のないやつだ。俺も寒さは苦手になったけど」
そう言って、管狐が入っていった辺りをぽんぽんと叩いて寝室を出ていった。




