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8話
「…もしもし?」
『あ、もしもし…今、大丈夫かい?』
「勿論、大丈夫だよ。ぼーっとしてただけ」
『そうかい…昼間はごめん。電話貰ってたのに、折り返しが今頃になっちゃって』
電話の相手、颯介は本当に申し訳なさそうな声をしている。こうやって、家に居る時に颯介と電話するというのは、珍しい事でむつは少し不思議な心地となっていた。
「うん…仕方ないよ。あたしはほら…よく連絡つかなくなるでしょ?颯介さんの事、責めたり出来ないから」
ふふっとむつが笑うと、電話越しに颯介が安心したように、息をついていた。
『そう言って貰えると…』
「うん。それで…凪君は?見付かった?」
『いや…たぶん、こっちにはもう居ないんじゃないかと思う。雪も降らなくなってるから、雪女たちも居なくなってるだろうし』
「…そうね、あたしもそんな気したもん」