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8話
熱いお湯でしっかり暖まり、管狐の毛についた血を洗い流してやったむつは、満足そうな顔で風呂から出た。風呂にもドライヤーにも慣れていないのか、管狐は終始身体を強張らせて固まっていた。
「…悪い事しちゃったかしらね?」
ソファーでくつろぐむつは、疲れきったようにくったりとしている管狐の柔らかい毛を、何度も何度も撫でていた。同じシャンプーを使ったからか、いい香りもしているが、それが管狐にとって良かった事なのかは、むつには分からなかった。
もうすでに寝るだけとなったむつは、本当にのんびりと過ごしていた。最近にしては珍しく、少し落ち着いた気持ちでもいた。そうやって、静かに過ごしているとテーブルに置いていた携帯が、ぶるぶると振動し始めた。