7話
ソファーに颯介を座らせコーヒーを置き、管狐用にとチョコレートを染み込ませたビスケットの袋を開けて置いた。管狐は空腹だったのか、さっそく袋に顔を突っ込んでビスケットをかじっている。
「…で、どこ行ってたんだ?自由に動いていいとは言ったけどな、連絡つかなくなるのは…むつじゃないんだから、頼むよ。むつからの電話、何回かあっただろ?」
「すみません…あっちこっち行ってる間に…今はもう充電も切れちゃってまして」
「充電してから、むつと祐斗には連絡してやれよ。で、報告貰おうか?」
「はい…弟はもうこっちには居ないんじゃないかと思います。雪が降らない以上、雪女たちも居ないでしょうから…」
「かもな。むつもそんな事言ってたな」
「むっちゃんは…鋭いですからね。他には何か言ってましたか?」
「管狐使いとしては、湯野ちゃんのがはるかに優秀だなってな。弟の管狐は、むつが預かってるぞ。まだ怪我も治ってねぇのに放置か…管狐持ちのくせにな」
ほんの少し嫌味のような 言い方に、颯介は弟の事を詫びた。自分も管狐持ちだというのに、他人の管狐だからと放置していたのだ。それは、いい事ではなかった。