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7話
「相棒の管狐のがしっかりしてるな。管狐、腹減ってるか?何かあったかな…ちょっと待ってろ」
山上が言うと、管狐は机から下りてソファーの方に行った。颯介はまだドアの前から、動こうとはしていない。うなだれたような颯介を横目に、山上はキッチンに入ると戸棚から、むつか祐斗の菓子を出してコーヒーをいれた。キッチンから出ると、颯介はまだ立ったままだった。
「…座れ。疲れただろ?俺からも少し話しておきたい事もあるからな」
お盆を片手にソファーの方に行くと、颯介も後からついてきた。いつもなら年長者で、しっかり者であるはずだが、今は迷子の子供のように心許ない感じがしていた。颯介のこんな様子を見たのは、いつの事だろうか。山上はそれを少し考えてみたが、前過ぎて思い出せなかった。