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7話
がちゃっと、やや雑にドアを開けると、身体の大きな男が立っていた。山上の顔を見ると、気まずそうに視線を反らした。普段ならそんな顔をする事など、滅多にないというのに珍しい。
「…入れ。寒かっただろ?」
相手がむつや祐斗であれば、連絡も返さずにどこに行っていたと、開口1番に怒鳴り付けもする所だが颯介だと、それも出来なかった。
「…社長」
「むつと祐斗は帰らせた。今日は飯も食ってないからな…今頃は2人してどっかで飯食ってるだろうよ。ほら、入れ」
慣れた場所だというのに、入りにくそうにしている颯介の腕を取って事務所に引き入れてやると、開けた時とは対照的に静かにドアを閉めた。