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7話
「…追い出されちゃったや」
「そうですね…」
閉められたドアを恨めしげに見ていたむつだったが、祐斗を促すとさっさとエレベータに乗り込んだ。睨むようにドアを見ていたというのに、もうそんな顔はどこにもない。
「どこいこっか?社長の奢りなら…少し贅沢してもいいかもしれないね」
「ですね。身体が暖まるのがいいっすよね…鍋いきますか?」
「いいかも。餃子かチゲがいいな」
「餃子チゲにしたらいいんじゃないですか?」
「ニンニク少ないといいけど」
くすくすと笑いながら、むつはエレベータから降りると、祐斗にこっちと言って行き先でも決めてあるかのように歩き出した。