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7話
膝の上で、安心しきったように眠る管狐を山上の膝に乗せたむつは、祐斗と共に帰り支度を始めた。携帯を鞄に入れようか悩んだむつだったが、鳴ったらすぐに分かるようにと尻ポケットにねじ込んでいた。
「…颯介さん、どこまで行ってるのかしら?無事だったら、いいんだけど」
いっこうに連絡がつかないから、もしかして何かあって連絡取れない状況になっているのではないか、むつはそんな風に思っていた。祐斗もそれは思っているようで、困ったように頷くだけだった。
「明日…きっと何か分かりますよ。今日は帰って、休みましょう。明日に備えて」
「うん…寝れるかなぁ?」
「…微妙っすね。それこそ…寝れないなら、京井さんの所でおっきい犬抱っこしてきたらいいんじゃないですか?」
「それもそうね。そうしよっかな」
ほんのりと口元に笑みを浮かべたむつは、コートを羽織って山上の元へと管狐を迎えに行った。