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1話
はらはらと雪が降る中、むつは冬四郎の傘に入って並んで歩いていたが、ふっと立ち止まった。
「…どうした?」
突然むつが立ち止まると、冬四郎も立ち止まった。例年にない雪に、寒がりのむつでも喜んで雪の下に立っているのかと思ったが、そういうようにも見えない。むつは何やら、考え込むような顔つきで空を見上げた。
「むつさん?」
追い付いてきた祐斗が、傘にむつを入れてやると、むつは少し眉間にシワを寄せていた。
「…何か…普通の雪じゃない気がするの。何か感じたりはしない?」
「こんなに降るのは普通じゃないかもしれませんけど…特には何も感じませんよ」
「そう?なら、気のせいかな…?」
むつは手のひらに乗った雪が、ゆっくりと溶けていくのをじっと見ていた。




