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7話
颯介からの折り返しの電話もなく、帰ってくる気配もなく、いつの間にか外は暗くなってきていた。
「社長…」
むつが、どうしようという顔をして山上を見ている。祐斗も同じ様な顔をしている。どうしたらいいか分からず、不安でたまらないという顔だ。むつと祐斗からそんな顔を向けられると、さすがの山上もどうしたらいいのか悩むようだった。
今は何も出来る事がない。それが、どんなにじれったい事なのか、むつもだが祐斗も山上も感じていた。
「…俺が残るから、むつと祐斗は帰って休め。湯野ちゃん帰ってきたら話を聞いて、連絡する。何かあったにしても動くのは明日になるだろ」
普段の日であれば、むつも祐斗も喜んで帰る所だ。だが帰れと言われても、今は帰る気にはなれない。
「いいから…休め。すぐ動かなきゃいけなくなった時は、むつがバイク出して祐斗を拾って来てくれたらいい」
「うん…」
「管狐は…むつになついてるな。むつ、悪いけど面倒みてやってくれ。まだ弱ってるみたいだしな」
「それは全然…うん…祐斗、帰ろっか」
「…はい」