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7話
祐斗のいれてきたコーヒーの飲み一息入れてから、むつは持ってきた救急箱から包帯と塗り薬を取り出した。小さく細い身体に巻かれた包帯を、そうっと外すむつの慎重な手つきを、されている側の管狐は不思議そうな顔をして見ていた。
「…見られてるとやりずらいわね。大丈夫だって、痛くしないから安心してって」
小さな額を指先で撫でたむつは、管狐から視線を外すと祐斗と山上を見た。2人こそ不安だったようで、むつが視線を向けると揃って顔を背けた。
「細かい作業は苦手なの…」
「知ってる。代わってやろうか?」
「社長こそ大雑把そうなのに?」
くっと苦笑いを浮かべた山上だったが、むつの手から包帯を取ると、器用にもするっと外した。そして、ウエットティッシュで、こびりついている血を拭いた。
「…社長の意外性が見れる今回」
「大雪のせいですね。全部、雪のせいです。むつさんと西原さんの事もきっとそう…雪のせい」
呟くように祐斗が言うと、むつはきょとんっとした顔をした。だが、祐斗はそれ以上は何も言わずに、深々と溜め息をついていた。