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7話
「…この前まで大雪だったのが嘘みたいですよね。流石に、かまくらも溶けてましたし」
「残念だわ」
「かまくら?」
映像のデータを消しながら、冬四郎が何の事かと聞くと、祐斗は雪合戦した事からかまくらを作った事まで、かいつまんで話した。
「…そんな事してたのか。あ、ビルの前に雪が積んであるようにあったのが、かまくらの残骸?」
「そうよ。頑張って作ったのにさ…」
本当に残念そうにむつが言うと、冬四郎は山上を見た。
「…何だよ?」
「現職時代からは考えられないなと…むつ、写真撮ってないのか?撮ったんなら今度見せてくれな」
「うん。あ…颯介さん、まだ写真も送ってくれてないや…本当にもう…大丈夫かしら?」
「湯野ちゃんの頭の中は、弟の事でいっぱいなんだよ。片付くまで待ってろ」
勿論、そんな事で急かすはずもないむつは、こくりと頷いた。そして、テーブルにある携帯に視線を向けたが、何の連絡も来ていなさそうだった。