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7話
思っている事が顔に出たのか、身を乗り出してきた山上が、ぱちんっとむつの額にでこぴんを喰らわせた。眉間に当たったせいか、むつは痛そうにしていたが文句は言わなかった。否、山上に考えを見透かされていると分かって、言えなかったのかもしれない。
「…向こうが狙うとしたらむつか?」
「以前の事がありますから…可能性としてはあるのかもしれませんけど…湯野さんの弟さんの事を引き合いに出す事もないんじゃないですか?前みたいに、むつだけをかっさらってく事は簡単に出来るかと思いますし」
「それもそうだな。ましてや、能力が使えない今は、さらうのも簡単だろうからな。さらっても意味もないしな」
「…とにかく、湯野さんと合流した方がよくありませんか?弟さんの管狐も、このまんまじゃ可哀想ですよ」
「主不在だからか?むつになついてるから大丈夫だろ。こいつらは…主が居なくなったら、どうなるんだろうな」
「…さぁ?」