表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
よろず屋 -ゆきのこいじ-  作者: 幹藤 あさ
42/1090

1話

コートを羽織って事務所の鍵を閉めたむつは、エレベータに乗り込んで待っていた3人と合流した。


「お前…本当に厚着だな。つか、その上着は初めて見た。新調したのか?」


「寒いから買ったの。いいなーって思ってたけど、なかなか手が出なくて…柄じゃないってのもあるけど。でも、こんな天気だし買っちゃえーって…変?」


むつの上着が新しくなっている事に目敏くも気付いた西原が言うと、むつは手を持ち上げ首を傾げた。むつが膝丈もあるコートでさえ珍しいというのに、フードと袖の部分には、もこもことしたファーがついている。見ている分にも暖かそうな物だ。


もこもことしたファーで手元も少し隠れていて、それを口元に当てるような仕草に、左右の三つ編みだ。少し幼くも見えるが、可愛らしい。西原はむつをまじまじと見ていた。だが、何の反応もないと分かると、むつは冬四郎の方を向いた。むつも女の子なのだ。新調した上着が似合っていると、言って貰いたいものだ。


「似合っているぞ。可愛いな」


「本当っ!?ありがと」


ふふっとむつは嬉しそうに笑いながら、1階に着き開いたドアから出ていく。その後に冬四郎が続いていき、むつに並んで歩いていく。


「西原さん…すぐに誉めてあげないと。むつさんは、西原さんに意見を求めたっていうのに…」


「…仕方ないだろ。あのコートであの仕草は可愛すぎる。見てる場合じゃなかったか」


「俺は朝1で言いましたけどね。むつさんが、どう?って見せてくれましたから」


「…何でそんなにすぐ誉め言葉が出てくるんだ?本当に思ってるのか?」


「本当に思ってますよ。意外過ぎでしたけど…」


祐斗と西原はそんな話をしながら、むつと冬四郎を追うようにして、ゆっくりと歩き出した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ