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7話
「…マンションの近くでは見付けられなかったのに…どこから電車使ったのかしら?」
「さぁな。いや、もしかしたら見逃しただけかもしれねぇな…後でまた見てみるか。とりあえず続きだ」
再び映像が動き出すと、山上も身を乗り出すようにして画面を見た。そこには凪が1人で映っていて、迷うような素振りも何かを気にする様子もなく歩いて、改札を出ていく姿が映っていた。そこから、どこへ向かったのかは、おおかた見当がつく。凪の姿が、画面から消えると冬四郎は映像を、颯介のマンションの最寄り駅の物に変えようと、手を伸ばした。
「待って」
「まだだ」
むつと山上から同時に言われ、冬四郎は手を止めた。しばらくは、まばらに人が改札を出ていく姿が映っていたが、やがて改札をくぐる人は見えなくなった。それでも、むつと山上はまだ画面に注目していた。