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7話
祐斗がたずねると、管狐はこくこくと頷いた。画面から離れた管狐は、包帯が巻かれている箇所にも、鼻先を向けた。そして、また画面に映る女を見た。
「…怪我をさせられた相手?」
むつの目が細くなり、眉間にくっきりと縦シワが寄っていた。少し怖い顔になっているが、管狐は気にする事もなく、こくこくと頷いている。
「さゆき…って雪女ね?」
管狐が再びこくっと頷くと、むつは深々と溜め息を漏らして、冬四郎の足の間におさまるようにして、ソファーにもたれた。
「どういう事?雪女が凪君に接触してきたって事?襲われたってわけじゃないわよね?それなら、颯介さんが起きないはずないもん」
「…接触してきたから弟も居なくなった?にしては時間差があるだろ?弟は朝方出ていってるけど…この雪女は深夜に来てるぞ?」
「…凪君にしか分からない事だわ」
「…考えるの後だ。とりあえず、さっきコピーしてきた映像にしてくれ」
冬四郎がパソコンを操作し始めると、むつは管狐を抱き寄せるようにして持つと、すっかり冷めているコーヒーを一口飲んだ。