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7話
冬四郎はパソコンを操作し、むつと山上が気にした部分まで早送りをした。そして、そこが近くなるとスロー再生にした。むつはじっと目を凝らして、画面を見つめていた。
「あっ‼」
停めて、というより先に冬四郎は一時停止を押していた。マンションの管理人室で見た時にも、ちゃんと見ていてくれたという事だ。むつは上を向いて、冬四郎の顔を見ると、にっこりと笑った。
「ありがと…ここ、拡大して?」
むつが画面を指差すと、冬四郎はすぐにそこを拡大した。だが、拡大しただけでは余計に画像がぼやけて、何が映っているのか見ずらい。だが、冬四郎が操作をすると、画像はページをめくるようにして、だんだんと鮮明になっていく。
「すごっ…画像専用のソフト?」
「まぁそんな所だ」
やはり冬四郎が一緒で良かったとむつが言うと、冬四郎は微かな笑みを浮かべた。その笑みは微かすぎて、山上でも見逃してしまいそうな物だった。