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1話
「さ、話はそれで終わりか?終わりなら、そろそろ帰らないか?むつも谷代君も送っていくよ」
「はーいっ‼」
寒いからあまり外に出たくないというむつは、冬四郎と言われると嬉しそうな顔をした。だが、祐斗は悪いような気がして遠慮した。
「いいから、こんな天気なんだ。電車もまともに動いてない部分もあるから送るよ」
「祐斗、一緒に帰ろうよ。お兄ちゃんの運転なら雪でも大丈夫だよ…大丈夫だよね?」
隠れていたむつは顔を出して、冬四郎の顔を覗きこむようにして見ている。甘えているかのような仕草と、大丈夫だと信じているかのような様子からして、冬四郎は運転が上手いのかもしれない。
「大丈夫だ。急遽タイヤも変えたしな」
「ほら、ね?片付けて一緒に帰ろ?」
「はい…宮前さん、すみませんがお願いします」
「そのつもりで来てるから気にする事ないよ」
「ほらっ‼片付けて来るね」
冬四郎が祐斗も送る気で居てくれた事を嬉しく思っているのか、むつは祐斗を引っ張っていき片付けを始めた。片付けと言っても、パソコンの電源を切って戸締まりをして、上着を着て鞄を持って終わりだった。




