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7話
誰とでも何とでもすぐに打ち解ける、不思議なむつを横目に山上と冬四郎はゆっくりとタバコを吸っていた。むつはその間に、コーヒーをいれると先に出ていった。奥の方から、祐斗のむつさんどこに管狐入れてるんですか、という呆れたような声が聞こえてきていた。
「…ほらな、祐斗の反応正しい」
「本当ですね…むつは、何なんですか?」
「…何ってお前の妹だろ?」
何を今更と山上が言うと冬四郎は、そうでしたと溜め息と一緒に煙を吐き出した。
「まぁ不思議な子だな。何であんなにも、人にも妖たちにもなつかれるんだか…良い人が分かるってやつか?」
「本能的にって事ですか?」
「それ。むつも本能っていう勘を頼りに仕事してるからな…野性的でたくましくてよろしい」
「…全然、羨ましくはないですよ」
くつくつと笑いながら山上は、最後の一口を吸うとタバコを揉み消して先に出ていった。