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7話
颯介の管狐の案内で行った山の最寄り駅に行き、冬四郎と山上だけでカメラの映像をコピーさせて貰いに行っている間、むつと祐斗は車の中で留守番をさせられていた。
「…むつさん、むつさん。その管狐…何で出てきたんでしょうか?置いてかれたにしても…そしたら、凪君の所に戻るんじゃないですか?」
「たぶんね。でも行かないって事は…来るなって言われてるのか、場所が分からないのかもしれないわね」
「そんな事って…」
「あるんじゃない?あたしは管狐持ちじゃないから分かんないけど…管狐持ちにしか分からないわよ。それこそ…当人同士にしか分からないってやつ?」
「あ…そうですね」
山上が言っていたのは色恋の事だったが、それは何にでも当てはまる事だなとむつは染々思っていた。そして、どういうわけか1人ぼっちにされた管狐を哀れむような気持ちになっていた。