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7話
「………」
管狐においでと言って手を見せると、管狐はそろそろと手の上に移動してきた。少しも重たさを感じさせない管狐は、むつの様子を伺うように顔を上げている。
「…凪君の子だわ」
「え?」
山上にからかわれていた祐斗は、むつの両手に乗っている管狐を見た。身体にはまだ少し血もついているし、包帯が巻かれている。痛々しい姿だが、管狐は元気そうだった。
「凪君…近くに居るのかしら?それとも…あんた置いてかれたの?」
「く…管狐持ちが管狐を置いて行きますか?」
「普通ならしないわよ。でも…凪君の事ってよく知らないし…有り得るかもしれないわね」
むつはそう言いながら、何も言わない管狐の頭を指先で撫でた。