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7話
祐斗に手を握られ、ゆっくりゆっくりと落ち着きを取り戻してきたのか、むつはぱちぱちとまばたきをした。固まっていた表情が、まばたきのたびにほぐれていく。それを見ていた祐斗は、ほっとしたように息をついた。
「あ、元に戻りましたね」
良かったと笑った祐斗は、さらにむつの手をぎゅっと握った。相変わらず冷たい手ではあるが、しっとりしているのにすべすべで触り心地がいい。西原が何かと、ちょっかいかけて触りたくなっている気持ちが、これなら分かると思っていた。
「…大丈夫ですか?」
そろっと手の甲を撫でると、むつはこくりと頷いた。そして、ゆっくりと顔を赤くしていった。パニックになってた事が、落ち着いてみたら恥ずかしくなってきたんだなと思った祐斗は、くすくすと笑った。