40/1090
1話
「まぁたぁあ!!2人でこっそり居なくなったと思ったら!!いちゃいちゃしてる‼」
いつの間にか言い合いを終えた西原と祐斗が、揃いも揃って壁の端からキッチンを覗きこんでいた。
「仕方ないですよ。寒いと人肌恋しいですし」
「そっ…そういう問題か!?それならむつ、俺の胸ならいつでも空いてるぞ‼」
西原が腕を広げてみせると、むつはあからさまに嫌そうな顔をした。そして、冬四郎の背中に隠れた。
「あ‼西原さんこそ、まぁたむつさんに何かしたんでしょ‼そうじゃなきゃ、むつさんがあんな風に隠れるはずないですよ‼」
「何にもしてねぇよ‼節分の時は皆で一緒だっただろうが‼」
「谷代君は、むつの心配したり湯野さんの心配したりと心休まる暇がないな」
染々とした様子で冬四郎が言うと、祐斗はうんうんと頷いている。西原はむっとしたように、祐斗の頭をばしっと叩いた。だが、祐斗は痛がる事もなくへらっと笑っていた。むつはその様子を見ながら、本当に2人は仲良いんだなと思っていた。




