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7話
むつが叫んだり、ばたばたと足を踏み鳴らすからか、流石に不振に思ったようで管理人室が開いて、いぶかしむような冬四郎と管理会社の男が顔を見せた。
「…何してるんだ?」
「いや、くだ…あ‼なっ何でもありません‼外で待ってます‼待ってますね‼」
パニックになっているのか、落ち着きのなさそうなむつは、ぱくぱくと口を動かすも声にはなっていない。祐斗はそんなむつの背中を押すと、落としている鞄とコートを拾って、妙に笑顔で会釈をして、そそくさと外に出ていった。
「…何なんだ?」
冬四郎は2人が何をして騒いでいるのか分からなかったが、とりあえず静かになったからと、管理会社の男に再び話をしていた。