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7話
こんなにも落ち着きのないむつを見る事は滅多にない。祐斗は少し面白いなと思いつつ、口には出さなかったが、顔には出ていた。
「肩に…」
「肩!?」
自分の左右の肩を慌ただしく見すぎてか、右肩に居るものに気付かずに見過ごして、もう1度見てから、うわぁと叫んでいた。
「…落ち着いてくださいよ」
祐斗が言ったくらいで落ち着くはずのないむつは、肩に居る物を払い除ける事も出来ずに、祐斗に取れと言いたげに肩を向けていた。
「は、早くっ‼早く!!」
「大丈夫ですよ、管狐ですから」
「えっ!?」
「管狐ですって…」
「えっ!?えっ!?」
ばっと肩を見たむつは、小さな顔がすぐ目の前に来ていた事にも驚いて、再び悲鳴を上げていた。