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7話
「…あれ?」
冬四郎と山上がまだ戻ってこず、退屈しているむつは見る物もなしに、辺りを見回していたが、はたと視線を止めた。何か分からないが、観葉植物の鉢が置いてある所で、何か動いた気がしたのだった。
「祐斗、祐斗…」
こいこいと手招きしたむつは、観葉植物の鉢の辺りを指差した。何か珍しい物でもあるのかと、祐斗はむつの指先の向いている方を見た。
「…何の鉢植えでしょうね?」
「そこじゃないわよ。もっと下…鉢の後ろに何か居る…見てきてくれる?」
「ええっ‼嫌っすよ…ネズミとかじゃないっすか?だとしたら管理会社の人に…」
「あたしネズミ無理。だって、管理会社の人はお兄ちゃんと社長から何か言われてるもん…先に見てきてよ。ネズミとかなら、ここに居たくない。先に出とくから」
そんなにもネズミが嫌いなようで、むつはすでに嫌そうな顔をしていた。
「…見間違えじゃないですか?」