394/1090
7話
「に、しても…颯介さん全然連絡くれないわね。どこまで行ってるのかしら?」
「…連絡なくなるのは、むつさんも同じじゃないですか?それだけ必死になってるって事なんでしょうけど」
「良いように言ってくれてありがと」
くすくすと笑いながら、自分が連絡しない時は、こうもやきもきしながら待たれているんだなと、染々と実感していた。
「…颯介さんって意外と良さげなマンション住んでるよね。社長の物件かしら?」
ぐるっとエントランスを見回したむつは、どことなく高そうな雰囲気と清掃が行き届いているのを見て、いいなと呟いていた。こんな時に暢気なと祐斗は思ったが、確かに家賃の高そうな所だなという感じはしていた。
「よろず屋の給料ってそんなに…」
「よくはない」
ばっさりと言い切ったむつは、颯介は他にバイトでもしているのだろうかと思ってみたりもした。だが、大きな仕事になれば帰れない事もあるのに、そんな事していられるはずもないかと、あっさりと否定した。