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7話
冬四郎はまだ管理会社の男と、何やら話をしている。山上は口を挟んでは居ないようだが、そこに居るだけで何かしらの効果を発揮しているのかもしれない。
そんな2人をよそに、むつはカメラの設置されている場所を確認していた。
「…あそこから撮って…壁はあの辺かな?」
むつはカメラの下に立ち、気になる物が映ったであろう辺りを指差した。管理会社の男の言う通り、壁しかなく外からの光が差すことはないだろう。人影が映っただけであれば、その人物が見えて当然だったのだが。
「うーん…祐斗はどう思った?」
「むつさんと山上さんが何に気付いたのかさえ、分かりませんでした。すみません…」
「あ、そっか。お兄ちゃんと後ろから見てたもんね…仕方ないよ。後でもう1回一緒に見てね」
少し頼られているのかなと思えるような言い方をされ、祐斗は笑みを浮かべて頷いた。