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7話
朝と言っても、まだ暗い時刻だ。エントランスの明かりのせいなのか、映像はやけに白っぽく見えている。それでも人が通れば分かる。むつは慎重になっているからか、人が見えるたびに一時停止を押していた。凪じゃないと分かるたびに、むつは苦笑いを浮かべながら再生を押していた。だが、見落としがないようにと、本当に慎重になっているというのがよく分かる。
「あ…ビンゴ」
次に出てきた人を見付けた時にすぐに一時停止を押したむつは、画面を指差してこれだと言っている。
「これか?」
山上は疑わしいと言わんばかりに、顔を画面に近付けている。画質が悪くて見辛いのか、後ろを向いて冬四郎を呼んでいた。ひそひそと何やら話すと、冬四郎は頷いた。そして、管理会社の男を少し離れた所に呼んで何やら話をしていた。