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7話
さらに早送りをしながら見ていくと、山上があっと声をあげた。むつも何かに気付いていたのか、すぐに一時停止を押していた。
「…今の…何?すみません、スロー再生って出来たりしませんか?」
「スロー再生はちょっと…」
「そうですか。すみません」
少しがっかりしたようなむつは少しだけ、巻き戻してから再生を押した。むつと山上は、画面の一点をじっと見つめていた。そこに何かが映っていたのだ。
「…あの、この辺ってエントランスのどこの部分になりますか?ドアの近くとか…影が映るような所でしょうか?」
再び一時停止を押したむつは、画面の左端を指差した。そこにむつと山上が気付いた何かが、映っていたのだろう。
「いえ、そっちはエレベータに続く壁ですから…出入り出来るような所ではありませんし、影が映るなんて事は…」
何から影が映っていたとでも言いたげなむつの言葉に、管理会社の男は怖々と首を振っていた。