7話
むつが答えにつまると、タバコを揉み消した山上が、くっと笑った。むつと祐斗は、何か面白い事でもあっただろうかと、山上の方を見た。
「成り立つだろ。それは本人たちの事なんだからな。外野がとやかく言う事じゃねぇんだよ。それにな、人だから妖だからってのを気にするような気持ちなら…そんなもんは偽物だろうよ。本人たちにしか分からない、本人たちだけが通じ合える。恋ってのは、それでいいんだ。ま、つーか愛だよな。愛」
山上にも何かしらの経験でもあるのか、どこか遠くを見るような目付きをしている。はるか昔なのか、それとも警察時代に友人と取り合った女性の事なのか。むつには、分からなかった。
「…社長が言うと、説得力あるわね」
「…色んな経験してそうっすもんね」
「だろ?むつも祐斗も恋は沢山しろよ?愛するのは1人でいいけどな」
「どう違うんすか?」
「上心と下心の違いだ」
「…全然、分からないっすけど」
「祐斗にはまだ早いって事よ」
「むつさんには分かるっていうんですか?」
「ちょっとだけ…分かるかな?」
「どっちも、まだまだだな」
子供だからなと言われたむつと祐斗は、揃ってぷくっと頬を膨らませた。揃ってそんな仕草をするあたり、やはりまだまだ子供なのかもしれなかった。