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7話
「…はらはらする」
「…手に汗かいちゃいました」
心臓に悪いとむつは言うし、祐斗は緊張でもするのか、おしぼりで手のひらをごしごしと拭いていた。
「…誰も得してませんよ?」
「みやが怖い顔すっからだろ?」
「…してるつもりもないんですけど。とりあえず、話してくださいよ。じゃないと、むつから無理矢理聞きますよ」
「どうやってだ?」
「むつ、取調室行くか?」
「行かない‼」
即答したむつは、何も悪い事はしてないと祐斗の背中にくっつくようにして顔を隠した。
「いじめんな…ったく、話すから。むつ、いいな?祐斗も聞いてくれよ?」
「…はい」
颯介の事に関しての話になるのだと分かった祐斗は、表情を引き締めて背筋を伸ばした。