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7話
「…むつは美味しいって思ったら、共感して欲しいから、食べろってしてくるんですよ」
「成る程な…祐斗もそのくちだろうな」
「似てる所があるから…弟みたいなんですよ」
「確かにな。あいつら本当に仲良いからな」
むつと祐斗は最後の一口を頬張り、美味しかったね、と笑い合っている。そんな様子を見ながら、冬四郎がこそっと話すと山上は、うんうんと頷いた。甘い物が好きなだけに、食べさせられるのは恥ずかしいが、こういうのもたまには良いかもしれないと思っていた。
「ご馳走さまでした」
2人が揃ってそう言うと、山上はふっと笑っていた。奢る事が当たり前かのように冬四郎から言われていたが、この2人に奢るのは悪い気がしなかった。
「ふー…やっと落ち着いたかも」
「そうですね…ほっとしましたね」
一息ついたのか、むつもタバコを吸い始めると、ゆっくりと煙を吐き出していた。