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7話
パソコンと湯飲みを片付けに行っていた冬四郎が戻ると、その冬四郎の後を追うようにしてむつと祐斗はついていく。山上は冬四郎の少し前を歩いている。
「…宮前さんの仕事中の顔ってやつなんでしょうか…さっきの顔は怖かったです」
「…あたしも。弱いって言われても納得」
「…俺もです。鳥肌立っちゃいましたよ」
あの2人が優しく、振り回されてくれるというのが当たり前になっていたむつは、改めて仕事をする時の冬四郎と山上の顔を見て、恐ろしいと思っていた。そして、やはり警察のお世話になるような事だけは、絶対にしないと誓っていた。
山上を先頭に、警察署を出たむつと祐斗は、揃って息をついた。それが本当に同時だったからか、はぁと聞こえたようで冬四郎が振り返っていた。
「…2人供そんなに緊張してたのか?」
「だぁって…ねぇ?」
「そうですね…」
何かしたわけでもないのに、くったりと疲れたようなむつと祐斗を見て、冬四郎は面白そうに笑っていた。怖い顔よりも、優しげに笑っている方が冬四郎らしいな、とむつも祐斗も染々と感じていた。