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6話
しばらく考え込んでいた山上だったが、ふうと息をついた。そして、そろっと部屋の中を見回した。
「…タバコ吸いに出ないか?」
「………」
冬四郎は山上の目をじっと見た。どちらの目も鋭く細められていて、むつはそれを見ていただけなのに、鳥肌が立っていた。祐斗も同じなのか、服の上から腕を擦っている。
山上の目から、何か読み取れるものでもあったのか、表情を緩めた冬四郎はパソコンと湯飲みを片付けると、立ち上がった。
「…出ましょうか」
「あぁ、茶ご馳走さん。相変わらず…薄緑色の湯だったけどな」
「…コーヒーは黒い湯ですよ」
「だろうな」
お茶でもコーヒーでも色がついてるだけで、雰囲気を出しているだけなのかと知ったむつは、よろず屋の方がよっぽどましな物を出してるな、と少し勝った気になっていた。