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6話
「考えすぎかもしれねぇけどな、あいつの言った事は本当なんだな、って…むつは思ってるだろ?」
「思ってる。でも…」
「…でも?言ってみろ」
「誘導されてるのかな、って。こうも分かりやすく、カメラに映っちゃう?そもそも、お前の移動手段も電車かよ…っていう、ちょっとがっかりな感じもする」
「俺もな。むつの周囲の人間関係と考え方を分かってるからこそ…じゃねぇのかって気がしてるんだ」
「うん…そうなんだよね。騙されたのかな」
「………」
それは山上にも分からない。残念そうな顔をしているむつは、はぁと溜め息を漏らして、冷たくなったお茶に口をつけた。