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6話
湯飲みを片手に、ずっと黙っていた冬四郎だったが、何度見返しても凪が映ってないという結論に至ったからか、おもむろに立ち上がった。そして、手を伸ばすと、ぱたんっとパソコンを閉じてしまった。
「………」
行動が気に入らないのか、むつが目を細めて睨んでいたが、冬四郎がそんな事で動じるはずがない。
「湯野さんの弟を探してるんだろ?何に、他に誰を見付けたんだ?谷代君は、むつと山上さんの話が分かってないみたいだったぞ?」
むつが冬四郎から視線を外して、祐斗の方を見ると、その通りだと言いたげに頷かれた。困ったような顔をしたむつは、そのまま山上の顔を見た。山上は眉間にシワを寄せて、考え込むように腕を組んだ。